コラム 「数珠」本来のあり方を求めて お数珠の安田念珠店へ

念珠は日本の精神文化の拠り所

「数珠」というお道具については、どちらかと言えばお葬式など喪のイメージを抱かれる方が多いのではないでしょうか。しかし、本場京都では「念珠」と呼ばれて親しまれているように、もともとお数珠は「心をかけて念じるためのもの」として、日常の中で人々の心の拠り所として親しまれてきたものです。

本来は108玉が基本であったお数珠を半分の54玉にし、それをまた半分にして27玉の片手念珠に…その輪をさらに小さくして、身に付けられる腕珠（腕輪）に…
このように形を工夫され 簡略化してきた変遷の歴史からも、”もっと身近に念珠を持ちたい”
という人々の思いが見て取れ、お数珠が日本人の生活と心に寄り添ったお道具であることがうかがえます。

何かに祈りたい、願いをかけたい…今も昔も変わりなく、誰の心にもある人間の純粋な気持ちに寄り添い、支えとなる存在こそが、お数珠本来の姿ではないかと私たちは考えているのです。

儀式のためのお道具にとどまるのではなく、人の心に根ざし、日本の豊かな精神文化を支えるものとしての念珠を、もっと多くの人に知って頂けたら…安田念珠店は、そんな願いを抱きながら、日々お数珠と向き合っています。
残念ながら、今日ではそのような意味も薄れつつあるのが実情ですが、お念珠がもつ本来の意味や役割を見つめつづけていると、時代を超えても変わることのない人の自然な心や、思いの温度が伝わってくるようです。

お数珠は日本人にとって、心の拠りどころとなるもの。
その文化を担い、本来のあり方を伝えてゆくこと、それによって「精神的な社会貢献」を行う事こそが、私たち安田念珠店の掲げる大きなテーマです。
「物」から「心」へと、新しい価値観が育ち始めているこの時代にふさわしいあり方をめざして、これからも人の温もりが伝わるような本物を届け続けます。